2021/05/26 11:58
※まずはじめに、この記事には、ネガティブな表現が含まれていることをお断りしておきます。
今回の記事は、12年前に潰瘍性大腸炎を発症してからの約2年間(今から約10年くらい前まで)、仕事と日常生活を送りながらも、潰瘍性大腸炎特有の症状に悩まされ、‘自死’を考えるまでに至った経験をふまえ、潰瘍性大腸炎の見過ごされがちなメンタル崩壊の恐怖について記憶をたどりながらまとめてみました。
潰瘍性大腸炎で周囲の理解を得るのに悩まれている方がいらっしゃれば、この記事を読むことで、潰瘍性大腸炎で見過ごされがちなメンタルの部分について周囲の方の理解を深めていただくきっかけになれば幸いです。
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大腸の粘膜で、炎症が起き、潰瘍やびらんができることにより、下痢や腹痛を引き起こされる病気です。
もっと簡単に言うと、‘びらん’は、‘ただれ’ている状態。潰瘍は、その‘ただれ’た状態がさらに悪化し、大腸の内壁がえぐれた状態のことです。
イメージとしては、口内炎の赤く腫れた所にクレーター状で真ん中が白っぽくなっているようなものがありますよね。それが、大腸の一部、もしくは全体に無数に広がっている状態を想像していただければ、その恐ろしさを感じていただけるかと思います。
このため、お腹が痛くなったり、頻繁に下痢をしたり、ときには粘膜から出血をして血便が見られます。
通常、外敵から身体を防御するためにはたらく免疫系が、なんらかの異常により自分自身の腸管粘膜を攻撃して粘膜の炎症を起こしていると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
潰瘍性大腸炎の多くは、大腸に炎症があって自覚症状のある「活動期」と大腸の炎症が治まって症状がなくなる「寛解期」を繰り返します。寛解期から再び活動期に移行することを「再燃」といいます。
【日常生活への影響】
・激しい腹痛に襲われる。
・便意をコントロールできない。
→したくなったら、すぐにトイレへGOしないとOUT
・1日10回以上トイレに駆け込まなければならない状況。ひどいときは20回以上の時も。
・外出時は、常にトイレの場所を意識していなければならない。
→外出時は、常に不安。通勤電車の中や歯医者や美容院など、長時間椅子に座る際も、不安。
テーマパークなどの行列に並ぶのも不安。とにかく、不安感に押しつぶされそうになる。
・夜中にトイレで2~3回目覚める。
→日中はもちろん睡眠不足。
・多量の血便。
→便というよりもほぼ血の塊。これを見たらさすがに不安感も一挙に増す(;゚Д゚)
・OUTすることを前提に介護用おむつを履くことの抵抗感。そして、OUTしたときの何とも言えない屈辱感。
・食事の制限
→食べたいものが食べられなくなる。ひどくなると、食事することすら怖くなり、食欲が減退する。
【職場における影響】
・周囲の目が気になる。
→見た目は、健常者と変わらない。にもかかわらず、仕事中や会議中に頻繁にトイレに駆け込むちょっと困ったやつ(・・・に見られているような気がする。)
・通常のパフォーマンスを発揮できない。
→その負い目から自分を責め塞ぎこみがちになる。
(会社の上司や同僚には、カミングアウトしていたが、この病気のつらさは、この病気になった当事者でないとなかなか伝わらない、理解してもらいにくいと感じた。)
・休職と復職を繰り返したあげくの退職勧告。
→この先、どうして生きていけば良いのか?先の見えない不安感。
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上記の理由が複合的に絡み、メンタル面がひどくやられてしまうという状況は、ご理解いただけるのではないでしょうか。
潰瘍性大腸炎を発症し、上記理由によるメンタル面における負のループに陥ってしまうと、いつしか、
と思い始めるようになりました。
そう、この状況になると
です。
そして、主治医のすすめで、メンタルクリニックの通院も始めるようになり、投薬によるメンタルケアも開始しました。
会社も休職しましたが、一人、家で過ごすことが増えたことで、逆に一人で考える時間も増えたせいでしょう。
考えることは、常に「死んだ方が楽かもしれない」ということばかり。
潰瘍性大腸炎の苦しみに加え、精神的な苦しみからも、開放されたかったのかもしれません。
さすがに、自分でもこの状況は、まずいと感じました。
そこで、この状況を変えることとして、取り組んだことが2つあります。
①
心理学を学ぶ
高尚な心理学ではなく、普段着の心理学を提唱している心理カウンセラー衛藤信之先生の心理学講座を受講。
精神的苦痛に対して、心理学アプローチによりメンタル面の自己メンテナンスを意識的に行えるようになり、ストレスの感じ方を軽減することにつながった。
② ペットを飼う
結婚でもして、パートナーや子供がいたらまた違ったのかもしれませんが、独り身のため、1人でいることを回避するためにペットを飼うことにしました。
ペットを飼うことで、しつけやお世話、そして毎日の散歩など常にペットと接することで刺激を受け、癒される毎日。
そして、ペットを守ってあげなければならないという責務を負うことで一人で考え込む時間が減り、気づいたときには、‘自死’を考えることがなくなっていました。
以上
ちょっとネガティブな内容となってしまいましたが、これは10年前に私が経験したことです。
あれから10年…潰瘍性大腸炎も寛解と再燃を数年おきに繰り返ししてきました。
(この記事を書いている2021年5月下旬も、再燃して入院しています。)
潰瘍性大腸炎は、原因不明の難病とされておりますが、私の場合、精神面において必要以上に負荷がかかる、すなわちストレスが増大すると再燃してしまうようです。
とはいっても、ストレスの全くない生活を送ることは難しい。
しかしながら、いろいろなアプローチからストレスを減らしながら生活することがこの潰瘍性大腸炎とうまく付き合っていくコツだと思っています。
そして、この先、ずーっと、この潰瘍性大腸炎と仲良く付き合っていくという考え方に切り替えるだけでも、少しは気持ちが楽になるのではないか。私はそう感じています。